提案・説明時に最も意識すべきこと
結論から申し上げますと、企業でAIやビシネスデータサイエンスを活かそうとするなら、最も意識すべきは『先方(現場含む)の納得感』です。
あるコンサル提案が上層部になされたとします。プレゼン内容はとっても快く受け入れられました。しかし、トップや役員が納得しても、従業員が懐疑的ではうまくいきません。このうまくいかない、というのは何も従業員から激しい反発があるとか、大反対する、といったTVドラマでありがちで分かりやすいものではなく、「風化してしまう」といった類の、何か根深い病魔のようなものです。流行りのトピックだと「AIを導入したけど上手くいかない」というのも当てはまりますね。
これは、「企業という組織は、人間の体みたいだ」と考えると、よくわかります。
企業を人体と考えてみる(モデリング)
まず企業=組織というのは、企業そのものの方向性や思想、カラーはトップ層・経営陣の思想で成り立っています。これは「意思・意識」に相当します。
次に従業員ですが、実務を担っているため、やはり「手」や「足」、「目」といったパーツ部分ですかね。
管理職はその中間に相当するので「神経」っぽいですが、例えば暑いときには勝手に汗が出てきたり、意識せずとも心臓が動いていたりと、生命を維持するために各々が勝手に判断して、各担当にどう動けば良いかを決めてくれている、という点で「自律神経」が近いかな、と思います。
経営層=意思・意識
管理職=自律神経
従業員=手足といったパーツ
これで、人体に当てはめた企業のモデリングができました。
「人体モデル」では、体調不良と企業の悩みごとは似ている
ここで、「常に100%体調が万全」という大人はいるのか?を考えると、「No」ですよね。何かしら体調に不安をもっていたり、ケガをしていたり、どこかの調子が悪かったりします。恐ろしいのは、「知らないうちにガンが進行していた」といったケースで、目に見える形で症状が出た頃には手遅れになることです。
一例として、私たちが普段から触れているであろう風邪のウイルスとの格闘を想像してみましょう。
風邪の原因になる弱小ウイルスが体内に入ってきたとしましょう。
まず、意識の外で体が反応します。これは、免疫というパーツ(従業員)がそれに触れて、自律神経(管理職)が対策方針を決めて指示を出し、ウイルスに対処します。
この間、意識(経営層)はその働きすら確認できません。
インフルエンザとかケガといった、派手に症状が出るアクシデントなら体全体がおかしくなるので、すぐに認識して「これはまずい」と意識できますね。
この構図、まさに企業そのものだと思います。
何か問題があってデータ分析を行ったりAIを導入しようとなったとき、頭では「これは使える」と分かっていても、現場が「とりあえず導入しただけ」だと、まさに意識と体がちぐはぐな状態で、そこから何かメリットが生まれることはない、というのも今回の例で説明がつくと思います。
いくら体に良い栄養食品を摂取しようとも、胃が正しく吸収しなければ、そのまま排泄されるだけです。人体では通常そのような「スルー」は起こりませんが、意思を持った人間の集合体である組織では、体が大きくなればなるほどそれは起こりやすくなります。
ビジネスデータ分析の実務で大切なこと
ビジネスデータ分析の実務では、ヒアリング、途中経過報告、分析結果報告会、・・・と、説明やプレゼンを行う機会があります。
・どういう効果がありそうなのかを確実に伝える(摂取すると、どうなるのか)
・理解しやすく表現する=学術的難度の高い表現は絶対に使わない(確実に吸収されるようにする)
といったことを意識して、現場含む全員の納得感を得ることを目指すことが大切です。
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