ビジネス(特にマーケティング分野)でデータを分析を活用しようと思い立ったら、一番意識すべきは間違いなく『スピード感』だと思います。
何と比較して「一番だ」と言っているのかというと、特に「予測精度・モデルのあてはまり」とのバランスを考えた場合であって、極端に言えば
50%より大きい確率でそうなりそうなら、そうなると思ってやってみたほうが良い
ということです。
「統計的な有意差」をビジネスで使うとどうなるか?
ちょっとした例を挙げると、統計的検定というものがあって、「5%水準で有意差がある」みたいなことが計算で求められるのですが、この「5%水準で有意差がある」というのは「たまたまである確率が5%、だから間違いなさそう」といったニュアンスです。実験なんかでは妥当性を調べるのに重要な指標になります。
この統計的検定には、具体的にはχ二乗検定、t検定といった種類があり、データについてこのような調べ方ができるので、もちろんビジネス現場でも有効です。A/Bテストの判断基準としても使われています。
この検定、現場でクロス集計結果があれば大抵の場合はやってみるのですが、有意水準(先ほどの「5%」のこと)が実験で採用されるような1%だとか5%といった、まるで実験のような、お手本通りになることはほとんど見かけません。だいたい70%、50%、よくて10数%といったケースが多いですね。
(少しだけ踏み込んだ話をすると、本当に母数がじゅうぶんに大きい場合は出ることもありますが、これを何か大きな決断の基準に設定するのは、ちょっと気が引けます)
データを集めて有意差を求めることは、ビジネスでは適さない
実際はこういったケースが多いため、「有意水準5%を満たしていないので、現状まだ何とも言えませんね」と言わざるを得ないことになってしまいますが、これだと
・まだまだデータを集めなければけません
という、今これからどうしようか、という場面に対して何も答えてないことになってしまいます。
ここで、「いや、それでも慎重に進めましょう」となり、データを集めることにしましょう。恐らく、それまでに得られたデータ量と収集にかかった時間を考えると、あと何ヶ月くらい待つと今のデータの倍になりそうか、という見積もりができますが、正直なところ「そんな悠長なことはしていられない」です。マーケットは日々動いていますし、消費者も毎日触れる情報で色々と考えも変わるでしょう。実験室で起こる現象は来月も来年も変わりなさそうですが、ひとたび競合他社に何かをぶつけてこられたら、もはや想定していた来週すら回ってこないですよね。いわば、競争という面では遅れをとってしまうわけです。
とにかく早く手数をまわす
日本には「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」ということわざがありますが、ビジネスでは案外役立つ場面もあります。ビジネスでデータ分析を武器として扱う際、まさにこのことわざが役立つと思います。ビジネスでのデータ分析はあくまで「手段」であって、何かを解明すること自体が目的ではないはずです。
理想的なパターンは、
①自信のある分析結果が出た
②その分析結果に基づいて、いくつか具体的な策(施策、実行案など)を考える
③実行してみる
④全部ダメなら分析に立ち返る
のプロセスを早く回し、とにかく鉄砲を撃ちまくることでヒットを狙うことです。
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