データ分析だけに限らず、他人と何か知識を共有するときに前提知識の差を意識しないと、同じ日本語でも本当に意思疎通が取れなくなってしまって、せっかく良い発見、知見に恵まれても、最後の最後に共感を得て具現化することができなくなってしまいます。なので、ビジネスデータ分析で本当の意味で細心の注意を払うべきタイミングは、最後の報告部分である、と言っても過言ではないです。
前提知識の差が想像以上の差である具体例
虹(レインボー)は何色か?についてどのように習うかですが、これは国によって違うそうで、例えば日本とアメリカを見比べてみると
と、アメリカでは「藍色」がありあません。
ほか特徴的な国を見てみると、
ドイツ:赤、橙、黄、緑、青(5色)
台湾:赤、黄、紫(3色)
南アジア:赤、黒(2色)
『1色2色くらいの差ではない』というところが面白いですね。
虹の見え方に違いが現れる理由
虹は自然現象なので、人間には全く同じように見えているのは確かです。それなのになぜ、これほどまで差が生まれるのかについては、『色を表現する言葉の違い』にあるそうです。
日本の「色」に関する言葉を調べてみると、実に色々な単語が出てきます。ぜんぜん聞いたことがないような色の名前も出てきて、とても全てを把握するのは…自分には無理です。
ここで、ある1色のグラデーションを思い浮かべてみても、個人差も大きいことが想像できます。
例えば晴れた日の夕方、電車窓から見える夕焼けのきれいなグラデーションは何色か?と問われたら、自分なら
「赤?オレンジ?のグラデーションかなぁ」
と答えると思いますが、これがデザイナーさんだったり、何か色彩に関するお仕事をされている方なら、もっとバリエーションに富んだ色と説明がなされるはずです。
同じ情報を見ても『知見』を共有する難しさ
先程のグラデーションで、素人の筆者とプロの「差」は、まさに普段から接している色の言葉の数の違いであり、前提知識そのものと考えても差し支えないでしょう。
この違いが、前提知識の差が情報のとらえ方の大きな差につながる理由です。虹が6色と思っているところに7色目の見方を教えられたら、また別の見え方ができるのと同じように、同じデータ分析結果という情報を見るときも、新しい「見方」そのものを共有しておかないと、本当に伝えたいことを伝えることができなくなってしまいます。これは、非常にもったいないことです。
しかもたちが悪いのは、言語自体は同じ(日本語での会話)なので、言葉自体は正確に聞き取れても、それで終わってしまう可能性があることです。この部分については、学校から職場の研修まで、「教育」という分野でも難しい点として散見されます。
ビジネスデータ分析レポーティングで差がつく意識まとめ
せっかくの知見を正確に共有し、共感いただくために意識すべきポイントは、次のようになります。
できるだけデータ分析の前提知識(統計学的な分析手法など)が共有相手にどれくらいあるのか、を事前に確認しておく。
キモになる手法が必ずあるはずなので、それだけは「この分析手法がどんな仕組みで何をやっているか」をざっくりで良いので確実にイメージしてもらえるような説明をする。
分析手法の説明は、『Input:何のデータを→(ざっくり)どういう処理して→Output:どんな出力結果になるか』で十分です。
ビジネスデータ分析で使う分析手法の勉強は、自身のスキルアップはもとより「相手に説明できるように理解」するところまでは求められるでしょう。
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