ビジネス現場テクニック

「最初はどうしたかったのか」から考えることを意識するだけで議論の質は向上します【ゴールデンサークル】

ビジネス

ゴールデンサークル Why→How→Whatの順が鉄則

ゴールデンサークルはサイモン・シネック氏がTEDにてプレゼンを行った内容で、ものすごく端折って言うと

人は、「何を(What)」ではなく「なぜ(why)」に動かされる

ということです。

ビジネスデータ分析ではよく「手段が目的化してしまう」という事態が起こりますが、このゴールデンサークルを思い出せば回避できる可能性が高まります。
このゴールデンサークルの順番、つまり「Whyから始めることを意識できているか」が重要です。

 

ビジネス現場で順番を間違えるとどうなるか

自分自身の経験だと、圧倒的に「What」を重要視して、そこから議論が展開されていることが多いです。
「What」が最重要とされているので、「What」から議論が始まります。

・前半
「サービスのどこかに欠陥があるのでは?」「いや、やはり価格が高すぎると思うけどなぁ」

・後半
「営業のやり方がまずかったのかも」「無料キャンペーンのタイミングが、いまいち顧客に刺さらなかったのでは?」
今回の結論:営業日報の見直し

このような会議風景はよくありますが、これは前半が「What」、後半が「How」に相当しており、ゴールデンサークルの真逆に議論が進んでいます。

目先の問題点について解決策がこのような議論で出てくるのであれば問題ありませんが、大きな転換点を迎えているタイミングや新たなコンセプトの商品会議といった上流レベルの会議でゴールデンサークルを逆に進めてしまうと、下手すると致命傷になる爆弾を抱えるくらい危険因子になります。

少し見方を変えてみましょう。先ほどの会議例をよく見ると、手段が目的化していることが分かります。「結論:営業日報の見直し」あくまで商材をたくさん売るためのひとつの手段であって、会議の目的ではなかったはずです。

この悪い例を、ビジネス現場でのデータ分析作業に当てはめて考えてみましょう。

 

ビジネスデータ分析作業で手段が目的化してしまうメカニズム

特にデータ分析作業で起こるのが、チームレベルだと「議論が迷走」作業レベルだと「精度を追い求めすぎ」です。

まず「議論の迷走」ですが、大きな目標感は全員が共有できているのに、「今、ゴールデンサークルのどの部分が重要視すべきか」と「今、ゴールデンサークルのどの部分にいるのか」の認識が合わないまま会議やミーティングを行うと議論が迷走してしまう、ということです。

議論が迷走してしまう、という時点で目標感がちゃんと共有できているのか?と疑ってしまいますが、その時点で議論のレベル感、温度感のようなものがズレていくことがあるのです。
データ分析を活用する場合はゴールデンサークルの「How」の部分が分析作業になることが多いのですが、ここで「Why」が意識から抜けていると、「How」「Why」になってしまう、という奇妙なことが起こります。これが、手段が目的化した瞬間です。

次に「精度を追い求めすぎ」について、こちらは想像しやすいと思います。もともと、ビジネス課題を解決するために取り組みだした分析作業なのに、極端にいえば分析にのめり込みすぎて、1%の精度向上に何週間もかけてしまうようなパターンです。さすがにここまで極端だと「いやいや、研究じゃないんだから‥」となりますが、これに近い状態に陥る可能性もあります。

 

会議(議論)の質を向上させるには

会議のレベルを上げるには、ゴールデンサークルを意識した会議の目的を設定することで不毛な会議を回避することができそうです。そもそも「なぜその商材を世に出そうと思ったのか(Why)=最初はどうしたかったのか」が必ずあるはずなので、それを念頭に置いて議論を進めないと、先ほどの「議論の迷走」の先に

「そもそも、なんでこれに力を入れてるのか?」「商品コンセプトは顧客にマッチしていたのか?」

と、非常に一般的な問題を取り扱ってしまい、「今日の会議では結論が出ないので、次回に持ち越し」=時間の浪費になってしまいます。
(これは、バプニック(Vapnik)の原理に一番悪いタイミングで背いてしまった例)

バプニックの原理:
「ある問題を解くとき、途中でそれより一般的な問題を解こうとしてはいけない」

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