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ビジネスデータの可能性を取りこぼさないためのテクニック【「二項対立」と「極端な想像」】

分析テクニック

データを見る際、分析結果を見て考察する際、何か施策についての仮説を考える際、柔軟な発想や様々な視点、つまり多角的な考察力が物を言います。

これを根本的に鍛えるには2つの考え方が効きます。「1.二項対立で逆を捉える」「2.極端なケースを考える」です。

二項対立とは?

二項対立とは論理学用語で、「互いに対立しているような2つの概念のこと」を言います。

実は『この世の中は二項対立で溢れている』と考えてしまっても良いくらい、いくらでも二項対立を見ることが出来ます。

 

 

これは思想にも当てはまり、

 

 

となります。

 

二項対立ではなさそうなケースをどう考えるか?

ここで、先ほどの思想の例で「ん?」となる読者の方は、鋭いです。

思想の例には「どちらでもない」という選択があってもおかしくないですね。

二項対立自体の定義に沿っているのどうか、という議論を深めるのは今回の趣旨に沿わないので結論から言うと、「どちらでもない=その他」は考慮する必要がないため、元からないものとして構いません。

 

 

図の例のように、考察の対象が「購入者(が、リピーターになるには…等)」なら、そもそも来店しない層を考慮する必要はないからです。

 

二項対立で逆を捉えた先にあるメリット

このように、まずは二項対立を確認します。たいていは、ある面(購入者)に注目すると逆(購入しなかった客)もすぐに想像できるはずです。それを想像すると、二項対立ではあるものの「中間にハマりそうな」部分も想像が浮かんでくるはずです。

例えば、「商品を手にとって、買いそうだったけど買わなかった人」や「初来店なのに売れ筋を迷わず買っていった客」といった、いくつかパターンがあるはずです。そこに、まだ見えていなかった重要なビジネスデータが潜んでいる可能性があります。

 

「商品を手にとって、買いそうだったけど買わなかった人」
声をかけるタイミングが悪かったので買うのをためらったかもしれないなら、接客タイミングを調べることで問題が見つかるかもしれない
→普段、どんなタイミングで、どのような声掛けを行っているのか記録を集めてみる

 

「初来店なのに売れ筋を迷わず買っていった客」
知らないところで口コミまたはその商品の特集記事などがバズっているかもしれない
→売れ筋・死に筋商品についてツイートやネット記事の動向を集めてみる

極端なケースとは?

極端な考え方、といえば「もしもこの世が終わったら」も極端な考え方で間違ってはいませんが、数字的な極端さを考えてみましょう。

例えばこんな数学の定期テストがあったとしましょう。(数学嫌いの読者の方には恐縮です)

問.自然数$a$と$b$($a,b$ともに$0$でない)があるとき、次の式はどちらが大きいか?
$\frac{1}{2}(a+b)$ と $\sqrt[]{ab}$

この問題を解くとき、$a$と$b$に何か数字を入れてみると、答えが分かります。
(これは相加平均・相乗平均の関係を知っているとすぐに分かりますが…)

このとき、片方は小さい数、もう片方は大きな数を入れるとよりハッキリと、自信を持って答えが分かると思います。

$a=1, b=1000000$を入れてみる。どちらも自然数(1と100万)なので問題なし。

$\frac{1}{2}(a+b)=\frac{1}{2}*(1+1000000)$
$=\frac{1}{2}*1000001=500000.5$
つまり…50万とちょっと

$\sqrt[]{ab}=\sqrt[]{1*1000000}$
$=\sqrt[]{1000000}=1000$
つまり…1,000

「50万ちょっと」「1,000」
… $\frac{1}{2}(a+b)$の方が大きい!

 

ビジネスデータ分析で何かしらの仮説が思い浮かんだとき、「もしこの仮説に従う顧客が10万人いるとしたら」「この確率で100万人が購入を検討するとしたら」という極端な想像をしてみると、有り得そうなのか、それとも仮説自体、もしくは計算過程、最初の設定がおかしかったのか?といったほころびに気づく可能性があります。

 

目の前のケースを鵜呑みにしないための「極端」

先ほどは数学の問題を解くような例であまり現実的でなかったので、現実にありそうな場面で考えてみます。

マーケティング戦略を練るチーム内で、ある意見が少数派だったとします。しかし、実際は世間的にはその少数派の意見が大多数で、多数派の意見=そのチームの見解自体は目も当てられないほど的外れだった、ということもあります。

この構図について、下の図のようにとにかく極端に想像することです。

 

 

まとめ【「二項対立の逆をとらえて」「極端に考える」ことのメリット】

今回の内容はビジネスデータ分析作業の工程で言うと、かなり初期の段階で巡らせる思考の内容です。早い段階で様々なケースを想定しておくことが、その後の展開に可能性の幅を持たせることが出来ます。

そもそも当たりをつけていた要因とは別の、あのデータも入れておいたほうが良いのではないだろうか?
ちょっとサンプルを取って先に調べて置いたほうが良いのでは?

特にビジネスデータ分析は1回でストレートに結論と施策に関する仮説まで進むことが難しく、かつ時間との戦いになることも多々あるため、早め早めの軌道修正が功を奏することが多いので、できるだけ可能性の取りこぼしがないようなスタンスとして、「二項対立」と「極端な想像」が使えると思います。

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