商品は、その性能や魅力のポテンシャルに関わらず
『魅せ方』ひとつで売れ方が大きく変わってしまう
という側面があります。 今回はそれを強烈に感じたお話を紹介したいと思います。
マーケター視点・「魅せる側」の視点で見たTV番組
先日テレビを見ていたら、興味深い・面白いコーナーが流れました。
とあるバラエティ番組のコーナー。国民的トップアイドルが誕生日を迎えるそうで、本人曰く「シャワーヘッドが欲しい」ということで、便利な機能のついたお手頃価格の製品からこだわりの高級品まで、様々な製品が紹介されていました。
国民的トップアイドルは紹介される商品たちに驚き、感銘を受け、視聴する私達も
「へぇ~、こんなのがあるのか」
と30分の番組コーナーを楽しむ内容です。
ここで、マーケター視点でこの番組の構成を見てみると、非常に興味深いことに気づきました。
国民的トップアイドルが「シャワーヘッドが欲しい」と一言漏らせば、周りの人間は血眼になって情報を集め、国民的トップアイドルならば気になる製品を全て買い揃えて、ひとつひとつ試すこともできることでしょう。
少なくとも私達がシャワーヘッド買い替えの必要が出てきた場合は、店頭に足を運んだり、インターネットで口コミなどの情報を求めます。
番組では、国民的トップアイドルは目の前の製品ひとつひとつに驚き、迷いに迷っています。番組では様々な製品が紹介され、驚く国民的トップアイドルが悩んでいる場面でCMに入りました。
私達のような一般的市民の購買パターンとテレビに映る国民的トップアイドルのリアクションに、何か違和感がある、ということが見えるでしょうか?
『果たして○○は、どのシャワーヘッドを選ぶのか?!』
そして流れるコマーシャルは、某社のシャワーヘッドです。
芸能人を起用した場合の試算をしみてみよう
国民的トップアイドルが番組に出ると、視聴率が3%は間違いない、としましょう。
日本国民1.2億人のうち3%がこの某社のシャワーヘッドの情報を目にする。そのうち1%、つまり100人中1人が実際に購入するとなると、
1.2億人✕3%✕1%=3.6万人
なかなかの人数になりますね。某社のシャワーヘッドの平均単価が5千円だとしても、その売上見込額は1.8億円。番組制作と出演者のギャラ、全てに5千万円を投じたとしても、見込み利益は1億円はゆうに超えそうです。
商品は「魅せ方」に、徹底的にこだわったほうが良い
せっかく良い商品、自信が持てる製品が出来ても、ただHPに掲載して店頭に並べておくだけではもったいないですよね。当たり前のことですが、
- 自信のある製品、商品は、ただHPにその魅力を掲載し、商品棚に並べるだけでは「戦略的な売り方をしている」とは言えない。
ということです。
顧客との接点をセッティングし、演出までも素敵に仕上げる戦略の強力さが、今回のバラエティ番組の例でお分かりいただけましたでしょうか?シャワーヘッドコーナーの例は、かなり「素敵な仕上がり」だと感じました。
テレビ番組もマーケター視点を養う良い教材になる
意識的にマーケター視点で考察しないと、なんとなく「某社のシャワーヘッドは国民的トップアイドルの○○くんが出ていた番組に取り上げられていた」という、なんだかポジティブな付加価値を、ただなんとなく抱いて番組終了、です。
TV番組、特にバラエティ番組で、どんなジャンルであろうと商品が取り上げられている場面に遭遇すれば、それは「マーケター視点」を養うのに絶好の機会です。
「まだまだテレビも捨てたものじゃない」というのは、単にテレビ視聴者のボリュームゾーンの年齢層が上がっているだけではなく、「商品にストーリー性を持たせる素敵な演出」の勉強材料にもなりますね。
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